橋本病
橋本病
内分泌内科専門医による、甲状腺機能を見守る継続的な診療

橋本病(慢性甲状腺炎)は、免疫の異常によって甲状腺に慢性的な炎症が起こる自己免疫疾患です。女性に多くみられ、決してめずらしい病気ではありません。
橋本病があっても甲状腺ホルモンが正常に保たれている方も多く、すべての方に治療が必要なわけではありません。一方、甲状腺の働きが低下して「甲状腺機能低下症」になると、疲れやすさ、むくみ、寒がり、体重増加、便秘など、全身にさまざまな症状が現れます。症状はゆっくり進むことが多く、「疲れているだけ」「年齢のせい」と見過ごされることもあります。
これらの症状だけで橋本病と決まるわけではありませんが、甲状腺機能の異常が隠れていないか確認することが大切です。
橋本病は「自己免疫疾患」のひとつです。本来、細菌やウイルスなどから体を守る免疫が、何らかの理由で自分自身の甲状腺を攻撃し、慢性的な炎症を起こします。その結果、甲状腺が腫れたり、徐々に甲状腺ホルモンを十分につくれなくなったりすることがあります。
発症には遺伝的な体質などが関係すると考えられており、家族に橋本病や他の甲状腺疾患がある方では注意が必要です。ただし、橋本病と診断されても必ず甲状腺機能低下症になるわけではありません。
血液検査
甲状腺の働きを確認するため、TSH、FT4などの甲状腺機能を調べます。また、橋本病に関連する自己抗体として、抗TPO抗体や抗サイログロブリン抗体を測定します。
甲状腺超音波(エコー)検査
甲状腺の大きさや内部の状態、しこりの有無などを確認します。放射線被ばくがなく、身体への負担が少ない検査です。血液検査と超音波所見などを組み合わせて総合的に評価します。
橋本病と診断されても、甲状腺機能が正常であれば、すぐに薬を始めず定期的な血液検査で経過をみることがあります。甲状腺機能低下症が生じた場合には、不足している甲状腺ホルモンを補うため、レボチロキシン(甲状腺ホルモン製剤)を使用します。
治療を開始した場合は、血液検査で甲状腺ホルモンの状態を確認しながら、必要な量を調整していきます。年齢、症状、妊娠の希望などによって治療方針が異なるため、一人ひとりに合わせた管理が重要です。
甲状腺機能は妊娠・出産とも関係するため、妊娠を希望している方や妊娠中の方では、よりきめ細かな管理が必要になる場合があります。橋本病を指摘されたことがある方、甲状腺機能の異常がある方は、妊娠を考える段階からご相談ください。
ヨウ素は甲状腺ホルモンをつくるために必要な栄養素ですが、橋本病では過剰摂取が甲状腺機能に影響することがあります。特に昆布などヨウ素を多く含む食品を極端に大量摂取することは避けましょう。通常の食生活について過度に制限する必要があるとは限らないため、自己判断で厳しい食事制限をせず、気になる場合はご相談ください。
橋本病は、診断されたからといって必ず薬が必要な病気ではありません。大切なのは、現在の甲状腺機能を正しく評価し、必要な方には適切な治療を行い、治療が必要でない方も将来の変化を見守っていくことです。
当院では、内分泌内科専門医として、症状だけでなく、甲状腺ホルモン・自己抗体・超音波所見などを総合的に評価します。「橋本病と言われたけれど薬は必要?」「最近の疲れや体重増加は甲状腺のせい?」「妊娠を考えているけれど大丈夫?」など、患者様それぞれの疑問や生活背景に寄り添いながら、長く安心して続けられる診療を大切にしています。
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